カルチャー  カルチャー 2017年4月4日 更新 お気に入り追加 0

南国と思えない寒暖差が美味い酒を育てます

☆SAKEPRO編集部☆ ☆SAKEPRO編集部☆

熊本県には多くの酒蔵があります。 南国でありながら美味しい日本酒が造れる理由の1つは阿蘇山でしょう。 長い年月をかけて山々でろ過された美味しい地下水が県内では豊富に湧き出ています。 阿蘇の素材と環境を活かして造られたおすすめ銘柄をご紹介します。

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阿蘇の文化、歴史が込められた熊本を代表する地酒

熊本県のおすすめ銘柄の1つ目は「れいざん」です。
阿蘇5岳の1つ、根子岳の南側に位置する高森町で250年余り造り続ける山村酒造が造っています。

蔵を構える土地は標高が高いため九州とは思えないほど夏涼しく、かつ厳しい冬の寒さにも見舞われる地域です。
日本酒はもろみの発酵が命ですが夏の暑さで腐敗してしまうこともありますので、寒い季節や土地で寒造りを行うことが理想的です。
さらにこの土地はやや軟水の美味しい伏流水が湧き出る山々に囲まれています。
美味しいお米が育つ地域としても密かに知られており、日本酒造りの土地には最高です。
阿蘇山の別名「霊山(れいざん)」の名前を付けた日本酒は、阿蘇の文化や素晴らしい水質を守っていくという蔵の決意の表れかもしれません。

「れいざん」は食事と共に飲まれることを想定して造られました。
味わいは端麗辛口でフルーティー、日本酒に慣れていない方にも飲みやすく、多くの飲食店で取り扱われています。
中でも一番人気があるのが「れいざん麗酒爽快」という冷酒専用の日本酒ですが、大量に造れないため販売はほぼ熊本県内に限られています。
熊本を訪れた際はぜひ美味しい料理と一緒に飲んでみてください。

熊本酵母発祥の研究所が造る香り高い酒

熊本県のおすすめ銘柄の2つ目は「香露」です。
400年余り熊本市の中心で市民の生活を見守ってきた熊本城から徒歩10分ほどのところにある熊本県酒造研究所が造っています。
市街地にありながら夏と冬の寒暖差が大きく、冬はマイナスの気温になる日もあり日本酒造りに適した環境です。
現在の蔵が建造されたのは大正11年と、日本酒の蔵にしては歴史が浅いです。
蔵の名前の通り熊本県内の酒造技術を向上するために造られた研究所で、当時熊本の日本酒の主流だった赤酒から清酒に切り替えようという働きが県内の生産者の間で起きて設立されました。
設立後は日本酒の品質がみるみる良くなり品評会や鑑評会では何度も全国1位を獲得、吟醸酵母を代表する熊本酵母を生み出すなど、日本酒の品質向上に大きく貢献しました。

「香露」は仕込み水には阿蘇の清冽な地下水を、米は肥後米を主に用いています。
また、大吟醸酒に使われるのは兵庫県産の山田錦です。

芳醇な香りとさわやかな味わいで、何杯飲んでも飽きません。
しかしやや主張があるので、食事と一緒に飲むのなら淡白な味の料理と共に飲んで欲しいお酒です。
または食後に楽しむだけのお酒としても重宝します。
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