1.古文書にも頻繁に登場するお酒
実は、日本酒がいつごろから作られるようになったのかは、諸説があってはっきりとはわかっていません。なぜなら日本酒の原料の酵母は生き物であり、アルコールも蒸発してしまうものだから、土器のように掘り出したりできないからです。しかし、すでに3世紀には有名な「議事倭人伝」に日本人がお酒をたしなんでいること、さらに「古事記」・「日本書記」「万葉集」「風土記」などの古文書には酒造りをしていたという記述があります。このころのお酒というのは飲み物というより食物として扱われていたようです。
2.中世~江戸時代に日本酒造りの技術が確立
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平安時代初期の「延喜式」には「米」「麹」「水」でお酒を仕込んだりお燗をしたりした記述があります。また、この時代から「僧坊酒」という寺院で醸造されるお酒が発展していき、都市経済の発展に伴いお酒も流通していくようになります。また、南北朝から室町初期には現在の清酒造りの原型が整っていたことが「御酒之日記」(ごしゅのにっき)の記述からわかります。江戸時代にはさらに各地で酒造りの技術が発展し1698年(元禄11年)には27,000軒もの酒造場があったことがわかっています。庶民の口にも入るようになったのがこのころです。
3.明治時代~そして現代へ 酒造への科学的アプローチ
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明治維新後の政府は酒造りを免許制にして酒税の徴収を厳格化します。一升瓶が発明されたのもこの頃で、大正時代にかけて一升瓶が日本酒のスタンダードとして広まるようになりました。また、国立の醸造試験所が開設され、酒造りにおける科学的な理論の裏付けがなされ研究が進んでいきます。酒造りについての器具の開発や酵母の培養といった現代技術が確立されたのは昭和初期頃です。しかし先の大戦により原料の米が不足、酒造りも低迷します。戦後にようやく復興を見ますが、輸入酒のワインやビール、ウイスキーなどに押され気味で長らく不遇の時代が続きますが、近年の日本食ブームに押されるように近年また日本酒が注目を集めています。
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