カルチャー  カルチャー 2018年6月11日 更新 お気に入り追加 0

【水無月×日本酒】季節のお菓子で味わう伝統文化

Kosuke Takayanagi Kosuke Takayanagi

〜日本酒愛の伝道師〜 国際唎酒師&SAKE DIPLOMAの高柳宏介が提案する美味しい日本酒のある生活。Instagramでは@sake_evangelist としてオススメの個別銘柄やお店の紹介をしています。さて今回は、「水無月×日本酒」ということで季節のお菓子と日本酒を合わせて楽しみつつ日本の伝統文化を味わいましょうというお話。

紫陽花が色とりどりに咲き始め、夏はもうすぐだなあとしみじみ感じている今日この頃。皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
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水無月って何?

今回ここでお伝えする“水無月”という名称には2つの意味があります。

<陰暦としての名称>
ご存知の方も多いと思いますが、6月を陰暦では水無月といいます。

「え、いやいや6月なんて水ありすぎでしょ。雨も降るしじっとりするし、水有月じゃないの?」と言いたい気持ちもあったのですが、どう頑張っても水無月です。

そもそもの由来として、“田んぼに多くの水を必要とする月”つまりは“水の月”から来ているそうです。酒米を育てる田んぼにもこの時期になると水が引かれていよいよ成長を始めるぞ!と準備が整うタイミングなのかもしれませんね。

<和菓子としての名称>
毎年6月30日は「夏越の祓(なごしのはらえ)」または「水無月祓(みなづきばらえ)」と呼ばれる神事が各地の神社で行われます。

年に2度、6月と12月の晦日(30日)に行われる大祓は、半年の間に身に積もった罪や穢れを祓い清める神事であり、6月に行われる夏越の祓は暑い季節に病にかからぬようにと願いが込められています。

その際、無病息災の願いを込めて食べられるのがこの水無月というお菓子です。柔らかい外郎(ういろう)生地に炊いた小豆が乗っている三角形の和菓子なんですが、三角の白い外郎生地は氷を表し、上に飾られている小豆の赤色は邪気を祓うとされ、古くから愛され続けている和菓子となります。

日本の季節は和菓子と共に流れていると言っても過言ではありません。今年も6月の下旬には様々な和菓子屋さんに並ぶと思いますので、意識して眺めてみると面白いかもしれません。

水無月と日本酒を合わせてみよう

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さてせっかく無病息災を願うのであれば、健康的かつ美味しくいただこうではないですか。水の月だからこそ、その生産に多くの水が必要となる日本酒を飲むのもまた乙なのではないかと思うのです。

また、田んぼに水を引いていくという意味からも、そこで育まれた米で造られている日本酒を飲むことは、自然に感謝し今年もまた健やかな稲の成長を願うという点でとても良い心の持ち方なのではないかとこじつけている次第です。

というわけでここから和菓子の水無月と日本酒の合わせを考えてみようと思います。

まず水無月の要素を分解してみると、以下のようになります。

<香り>
・穏やかでほのかに甘いが無臭に近い

<味わい>
・小豆と外郎の優しい甘さ

<質感>
・外郎生地がもっちりねっとりとしている
・小豆がほくほくとしている
・全体的にはモチモチとし、少しスティッキー

これらの要素を持つお菓子にはどんな日本酒が合いそうでしょうか?

① 甘みの要素をまとめながら余韻を楽しめる貴醸酒
② スッキリとキレの良さがある軽やか系吟醸酒
③ 柔らかい質感に合わせた甘旨系純米酒
④ 味に膨らみのある燗酒で更にボリュームアップ

皆さんならどのようにしてこのお菓子と日本酒を美味しく楽しみますか?

味をリセットして口の中をスッキリさせる?食べながら飲んだ時のバランスを考えて選んでみる?それぞれの味わいをぶつけて相乗効果を狙ってみる?

必ずこうだ!という正解はありませんし、それゆえ答えは一つではありません。

是非「自分ならこうやって味わう!」という美味しい方法を見つけて見てください。

それでは今宵もよい日本酒をお楽しみください。
〜日本酒に愛を、酒飲みに幸せを〜
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