カルチャー  カルチャー 2017年3月31日 更新 お気に入り追加 0

沖縄で唯一の酒蔵の味を堪能する

☆SAKEPRO編集部☆ ☆SAKEPRO編集部☆

沖縄県は年中温暖湿潤であり、決して日本酒造りに適しているとは言えません。 しかし、人々に新鮮で美味しい酒を飲んでもらいたいという思いから、沖縄で日本酒造りを続ける蔵元があります。 その様な情熱ある蔵元を、おすすめ銘柄とともにご紹介します。

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沖縄唯一の蔵元とは?

「サンゴの島」を意味する沖縄方言に由来を持つ、うるま市に沖縄県唯一の蔵元である泰石(たいこく)酒造はあります。
海中道路のドライブが人気の観光地となっており、亜熱帯性気候に属するこの地域は、決して日本酒造りに適しているとは言えません。
しかし、創業者であり杜氏でもあった安田繁史は、「沖縄の人々に美味しい酒を飲んでもらいたい」という思いから、沖縄での日本酒造りに果敢に挑んだのです。
安田の学んだ醸造技術と困難に挑戦する職人としての気概やプライドは、50年以上続く現在の酒造りにも活かされています。

日本最南端の蔵元である泰石酒造では、高温多湿な気候を克服するために、かつて長崎にあった蔵元「黎明酒造」から技術提携を受けた四季醸造方式を採用しています。
日本酒は「寒造り」と言われる冬季集中仕込みが伝統とされますが、四季醸造は季節によって変動する気候の影響を抑える事で、年間を通して酒の仕込みを行う醸造方法となります。
この様に、不利な状況を克服して生み出されたおすすめ銘柄「黎明」は、研鑽された技術の結晶と言えます。

唯一無二の沖縄の日本酒を楽しむ

泰石酒造は、大手酒造メーカーの様にラインで大量生産を行うのではなく、昔ながらの人出による仕込みを基本として醸造を行なっています。
四季醸造方式を採用しても日々の環境変化を受けるのは同じで、最終的な品質は杜氏の経験と技術によります。
不利な環境を克服するために、長年の経験を通じて蓄積された確かな技術を持つ杜氏の醸す酒は、沖縄県のみならず日本で唯一無二の酒と言えます。

そんな泰石酒造のおすすめ銘柄「黎明 本醸造」は、九州産の酒米レイホウを精米歩合70%で使用しています。
口に含むと柔らかな香りが立ち、次に日本酒特有の米の旨味と甘味が広がります。
暑い気候に合わせた様にキレのある辛口となっており、後味はスッキリしています。
火入れ本醸造らしい落ち着いた味わいは、毎日の食事に合わせるのに適していると言えます。

日本酒と言えば東北などが有名で、沖縄には全くイメージがないという方も多いのではないでしょうか?
一人の杜氏が、日本酒の伝統を打ち破る事に挑戦し、結実した物語も合わせて噛み締めながら、他にはない味わいを堪能する事をお勧めします。
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