2018年4月29日 更新 お気に入り追加 0

日本酒を美味しく飲もう〜燗酒基本編〜

Kosuke Takayanagi Kosuke Takayanagi

〜日本酒愛の伝道師〜 国際唎酒師&SAKE DIPLOMAの高柳宏介が提案する美味しい日本酒のある生活。Instagramでは@sake_evangelist としてオススメの個別銘柄やお店の紹介をしています。さて今回は、「お燗」の話。日本酒の大きな魅力とも言える燗酒のことを分かりやすく書いていきたいと思います。

温めた日本酒=熱燗ではない!

まず多くの方の誤解を一つ解消したいと思います。知っている方は聞き流していただきたいのですが、日本酒を扱っている飲食店でもまだ誤用しているところが多いので念のため!

「温めた日本酒=熱燗」これは間違いです。

じゃあなんて呼んだらいいの?となりますが、温めた日本酒全般を言うのであれば「燗酒(かんざけ)」と呼ぶのが適切です。

温度と呼び方の関係性

そこで気になるのが、「熱燗て普段使ってるけどどんな意味なんだろう?」ということではないでしょうか。

実は燗酒にはいくつもの温度帯があります。
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この図のように、これらの総称を燗酒と呼んでおり、その中に熱燗という温度帯が存在していると考えてください。

例えば、「シャンパン」というのはフランスのシャンパーニュ地方で特定の材料と製法で作られたスパークリングワインのことを指すことはご存知の方も多いはずです。

それが(大雑把ですが)イタリアならスプマンテ、ドイツならゼクト、スペインならカヴァ、日本なら発泡性葡萄酒とでも言いましょうか。そしてこれら全てを総称してスパークリングワインと呼んでいます。

熱燗やぬる燗と燗酒の関係性もそんな感じだと思ってもらえればと思います。スパークリングワインにおける国と名称の関係が、燗酒においては温度と名称の関係になっているということでご理解いただければと思います。

ちなみに、それぞれの呼び名にはもちろん由来があります。

燗酒の温度基準は上燗

燗酒の温度を考えるときに、何をもってぬるいと言うのか、何をもって熱いと言うのか、その基準が必要になります。

その基準となるのが「上燗」の45℃です。
 (5864)

この「上燗の温度よりもぬるいから→ぬる燗」「上燗の温度よりもあついから→熱燗」という上下の温度帯の呼称が生まれています。

それ以外の呼称については字の通りだと思っていただければOKです。

お燗にすると美味しい日本酒

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日本酒の味わいは非常に幅があり、それぞれに適している温度があるとされています。しかし実際のところお燗にできない日本酒はありません。全ては味や香りのバランスの問題と言って良いと思います。

ですから、「生酒や吟醸系の日本酒はお燗するのは勿体無い」というような通説は日本酒の表現の幅が広がった今の時代においては価値を示さなくなったと言って問題ないです。

つまり、極論どんな日本酒も美味しいお燗にすることはできるのかもしれませんが、それだとせっかくこの記事を呼んでくださった皆様に何のメリットもありませんので、もう少し情報を絞ろうと思います(笑)

いろんな前提はありますが、それでも全タイプを通してお燗に向いている傾向にあるのが生酛系(山廃酛・生酛)の日本酒です。

理由として、生酛系の日本酒は酒母完成までの育成期間が長いことで、温めると美味しくなる成分たち(詳細は割愛)が速醸酛の日本酒よりも多くなることが挙げられます。

ですので、もしお燗にする日本酒で迷ったときには「生酛」「山廃」などと書いてある日本酒をチョイスしてもらえれば大きな失敗はないかなと思います。あとはお燗をつける人の腕次第で味わいは大きく変わっていきます。

最近は様々なテクニックも研究され、個性豊かな燗の技がお店でも楽しめることかと思います。是非お気に入りのお店で「おぉ、これは美味しい!」と感動できる燗酒に出会ってみてください。

もちろん、ご自宅でもお燗は簡単にできますのでお気軽に試してみていただけたらとても嬉しく思います。

番外編:自宅で簡単お燗酒

<方法1>
・お鍋にお湯を張ってその中に日本酒を注いだカップや湯呑みを入れる

<方法2>
・お湯を張った丼や茶碗に日本酒を注いだお猪口などを入れる

※電子レンジでチンは日本酒によっては味が壊れてしまうのでオススメしません

それでは今宵も良き日本酒を!
〜日本酒に愛を、酒飲みに幸せを〜
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