カルチャー  カルチャー 2018年2月27日 更新 お気に入り追加 0

今更聞けない!特定名称の話

Kosuke Takayanagi Kosuke Takayanagi

〜日本酒愛の伝道師〜 国際唎酒師&SAKE DIPLOMAの高柳宏介が提案する美味しい日本酒のある生活。Instagramでは@sake_evangelist としてオススメの個別銘柄やお店の紹介をしています。さて今回は、"特定名称酒"のざっくりとしたお話。本醸造、吟醸、純米などついスペックとして見てしまうこれらの言葉にもう流されない!

"特定名称"=お酒の価値ではない!

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特定名称とはいわゆる大吟醸や純米というスペックを指す言葉であり、そこには全部で8種類が存在します。ちなみに、この特定名称に当てはまらない日本酒を"普通酒"と呼びます。

というわけで、今回のテーマは「本醸造、特別本醸造、純米、特別純米、吟醸、純米吟醸、大吟醸、純米大吟醸」これらの特定名称に惑わされないようになりましょうというお話です。詳細に書き始めると止まらないので、割とざっくりいきます。もっと詳しく!という場合は個別にご相談ください(笑)

さてまず始めに、僕は日本酒を「純米だから」「吟醸だから」といった特定名称だけを理由に日本酒を選んだり判断したりしません。なぜなら、「純米だからこの味」「吟醸だからこの味」と一概に決めつけることは美味しい日本酒に出逢う回り道、もしくは落とし穴となることがあるからです。

以前は「大吟醸=美味しい、高品質」「純米=本当の日本酒、濃い」「本醸造=安酒、薄い」というイメージを持つ人がいましたが、それはもう昔の話。。。現代は造り手の方々の技術や様々な酵母の誕生により、日本酒の酒質の幅は特定名称だけでは計り知れない時代になっています。

むしろ最近は、美味しくない日本酒を探すほうが難しい時代になってしまったかもしれません。先日ある蔵元さんも仰っていた「不味い日本酒はない。口に合うか合わないかだけだ」というのはまさにその通りだなと僕も思っています。

だからこそ、この幅広い日本酒の世界で自分の口に合う日本酒との出会いや発見を、先入観なく楽しむことができたら、日々の日本酒ライフはとっても楽しいものになるのではと僕は考えている次第です。

勿論、行き当たりばったりで自分に合いそうな日本酒を探して見るのも宝探しのようで面白いですが、なかなかその一歩踏み出せない人もいるはずです。そういう方のために、ある程度の目安になればと思い簡単な傾向をまとめました。

特定名称(=スペック)ごとの味の傾向

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まずは基本として、大まかな味わいの特徴の傾向だけ抑えておきましょう。
普通酒の説明は一旦割愛します。

<本醸造・特別本醸造>
・香りは穏やかでスッキリ
・軽い口当たりで飲み疲れしにくい

<純米・特別純米>
・香りは控えめで優しい
・お米の自然な甘みやコクを感じやすい

<吟醸・純米吟醸>
・味と香りのバランスの良いものが多い
・スッキリ系からどっしり系まで非常に幅広い

<大吟醸・純米大吟醸>
・果物などを連想させる華やかな香りのものが多い
・雑味なく透明感のある味になりやすい

これらが一般的に言われているそれぞれのスペックの傾向です。どれも美味しい日本酒です。なので、その時の気分や好みの味わいを求める時の参考にしてください。

余談ですが、そこに「生酒・火入れ」、「あらばしり・中取り・責め」「速醸・山廃・生酛」「熟成の有無」「酵母の違い」「米の違い」…etcと様々な要素が加わることで味わいはどこまでも変わります。これらの話はいずれどこかで!

ここで見ておくべきポイント

特定名称酒の場合、必ずラベルに精米歩合が記載されています(精米歩合をラベルに記載しない場合は特定名称酒を名乗ることが法的にNGとなり、普通酒扱いとなります)。この精米歩合もまた、味わいを図る上で一つの指標となりますので日本酒選びの一つの目安にしてみてください。

一般的にはこんな感じかと思います。
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1%や100%に関してはかなり極端ですが、実際にそういう日本酒もありますので、ご参考までにご覧ください。僕が実際に飲んだ感想を記載しています。

ここでちょっと豆知識。

世の中には「精米歩合40%の純米酒(純米大吟醸と書いて問題ないのに)」「精米歩合50%の吟醸酒(大吟醸と書いていいのに)」「精米歩合40%だけど何も書いていない普通酒(純米大吟醸と書けるのに)」など意図的に書き方を変えている日本酒があります。

ちなみに、獺祭の「磨きその先へ」これは純米大吟醸でしょうか?

答えは「普通酒」です。

その理由が気になる方は調べるか、僕にご質問ください(笑)

さて、ここで何が言いたかったかと言うと。

どれだけ削ったかという精米歩合、特定名称というスペック、これらは日本酒の優劣に一切関係ありません。それぞれに個性があり、想いが詰まった一本です。

大事なことは、それぞれの個性や傾向を抑えた上で、自分の口には何が合うのかを探していくことかなと思います。日本酒がもう大好きな人も、これから大好きになる人も、是非いろんな探し方で自分の好みを見つけていってください!

〜日本酒に愛を、酒飲みに幸せを〜
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