カルチャー  カルチャー 2017年2月12日 更新 お気に入り追加 0

伝統と革新の融合!杜氏がいないのに絶大な人気の日本酒とは

☆SAKEPRO編集部☆ ☆SAKEPRO編集部☆

多くの日本酒ファンを持ち、海外でも人気のある銘柄「獺祭(だっさい)」。 このお酒が杜氏のいない酒造会社で造られていることを知っているでしょうか。 ここでは、伝統的な酒造りに革新的な手法を取り入れた「獺祭」のユニークな醸造方法やその特徴などをご紹介します。

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杜氏がいない!?社長と社員だけで醸造

獺祭は山口県岩国市にある旭酒造がつくっています。
かつては杜氏がいたのですが、経営難に陥っていた1999年、杜氏が旭酒造を去ってしまいました。
酒造りに欠かせない杜氏がいないというこのピンチの中で、
社長は徹底的なデータ管理という方策に打って出ました。
伝統的な酒造りのすべての工程でデータを取り、杜氏が自分の勘で行っていた作業を数字に置き換え、誰でもおいしいお酒を造ることができるような仕組みを作ろうとしたのです。
その結果、データで客観的に示された温度の管理や、水を足す最適なタイミングなどが分かり、
杜氏がいなくてもおいしいお酒を造ることに成功しました。
さらに、それまで冬場だけで仕込んでいた獺祭を酒造の温度管理を正確に行うことで、
季節に関わらず生産できるようになりました。

「獺祭」ってどんな酒?

獺祭のキャッチフレーズは「酔うための酒、売るための酒ではなく、味わう酒を求めて」。
純米大吟醸ならではの上品な香りや甘味が大勢の日本酒ファンの心をとらえています。
獺祭のほとんどは精白50%以下のお酒で、米を限界まで磨き上げることで雑味を削り、
芳醇な香りと、味の深みと長い余韻を造りだしています。
また、低温で長期間にわたる発酵「吟醸造り」も行っています。
以上のように獺祭は手間と時間を惜しまずに造られているぜいたくなお酒で、
日本酒ファンから絶大な人気を集めています。
ヨーロッパで権威ある食品コンクールとされているダイヤモンドセレクションでは最高金賞を受賞しており、世界で認められた日本酒ともいえます。
ニューヨーク、パリ、モナコ、香港など海外へも積極展開しており、
海外での知名度も高くなっています。
以上のように、獺祭はピンチの中で逆転の発想から生まれた、
今や日本が世界に誇ることのできる日本酒だといえるでしょう。
飲んだことのない人は、その徹底したデータ管理の下で、
手間暇かけて造られたぜいたくな味わいをぜひ試してみてください。
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