カルチャー  カルチャー 2017年2月9日 更新 お気に入り追加 0

水の硬度が影響する日本酒の種類

☆SAKEPRO編集部☆ ☆SAKEPRO編集部☆

日本酒造りに名水は欠かせません。 水に含まれるミネラルが作用し、 硬水で醸した酒は辛口に、 軟水で醸した酒は甘口になる傾向があるのです。 これは水の硬度が高ければ高いだけ含有されているミネラル成分の種類が増えるためです。

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水にはミネラルが含まれる

硬度が高い水にはリン・カリウム・マグネシウム・クロールといった種類のミネラルが多く含まれています。
これらは微生物の栄養となるために発酵が進み、
引き締まって切れの良い辛口の酒になります。
逆に、
ミネラルの少ない軟水は発酵が遅く、
糖がゆっくりとアルコールに変わるため、
やわらかい口当たりの甘口の日本酒になる傾向があります。
古くから名の知れた硬水は六甲山系の伏流水「灘の宮水」です。
この水で仕込んだ灘の酒は発酵が早く進むためにアルコール度数の高い辛口で切れも良いものでした。
今でも灘地方は日本酒の生産量で日本一です。
一方、
硬度の低い軟水としては、
京都の伏見や広島が名高く優しい味わいの日本酒が知られています。
硬水で仕込んだ酒を男酒、
軟水で仕込んだ酒を女酒と呼ぶことがあります。

ミネラルが及ぼす影響

具体的にそれぞれのミネラルの働きを見ていきましょう。
カリウムは麹菌や酵母の栄養素となり、
発酵を促します。
水の中には塩化物・硫酸塩・炭酸塩として存在しています。
マグネシウムも微生物の栄養源となります。
水中には塩化物や炭酸塩として含まれることが多くなっています。
水の硬度を表すときは主にこのカリウムとマグネシウムの量を表しています。
無機リンは酵母、麹、醪の発酵を促します。
そのほか、
ナトリウムはカリウムが足りない場合に代わりとなります。
窒素化合物は酵母の早湧きを防ぎます。
カルシウムやクロームは酵母の生産や安定化を助けます。
一方、
悪影響を及ぼすものもあります。
鉄はその最たるもので、
酒の色を褐色に変化させ、
香味も損ねます。
銅も同様です。
マンガンは紫外線での着色を促進します。
日本酒にとって水の硬度は大事な要素です。
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