カルチャー  カルチャー 2017年8月8日 更新 お気に入り追加 0

日欧EPAで関税撤廃!日本酒業界はどうなる?

☆SAKEPRO編集部☆ ☆SAKEPRO編集部☆

日欧経済連携協定(EPA)の交渉が2017年7月6日に大枠合意に至り、日本酒の関税撤廃が実現する見込みになりました。 これまでかけられていた100リットル当たり最大7.7ユーロ(約960円)の関税がなくなり、4合瓶(720ml)では10円未満価格が安くなることに日本酒業界では歓迎の声が上がっています。

日本酒業界が関税撤廃を歓迎するワケ

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日本国内での日本酒の消費量は減少の一途を辿り、若者のアルコール離れとも相まって歯止めがかからない状態です。
蔵元の数も年々減少しています。
海外では和食ブームが盛り上がりを見せ、日本酒にも熱い視線が向けられていますが、日本酒を作っているのは実は日本だけではありません。
韓国の日本酒は海外でも高い評価を得ています。
特に近年のアメリカ産の日本酒人気は高く、アメリカ国内で消費される80%がアメリカ産という現状があります。

今回の日欧EPAによる日本酒の関税撤廃は、日本酒業界にとって大きなチャンスである事は間違いありません。
イギリスで毎年開催されている国際ワインコンペティション(IWC)では、2007年に日本酒部門が設置されました。
この部門で1位になった日本酒には「チャンピオン・サケ」の称号が与えられます。
外務省ではこの大会で上位入賞した日本酒を在外公館で採用するなど日本酒の支援を開始しています。
日本の蔵元の参加数は増加していますが、こうしたイベントなどを活用するなどして、積極的に海外進出することが求められています。

関税撤廃を契機に日本酒業界に求められる事とは

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日本酒は日本のものという時代ではなくなっています。
アメリカの日本酒が日本産を差し置いてアメリカ国内に普及したのは、アメリカ人の嗜好にあった商品を作ったことに起因していると考えられます。
欧米では日本酒をワイングラスに入れて飲むのが一般的で、ヨーロッパのレストランではワインにかわる醸造酒として取り入れられることも多くなってきています。
日本酒ソムリエを募集するところも増えてきました。

日本酒業界には、これまでのような職人の技に拘った製造だけでなく、マーケティングという視点を取り入れた開発をしていくことが求められるでしょう。
関税撤廃はヨーロッパで日本酒の消費量を増やすための大きなチャンスです。
価格はそれほど下がらなくとも関税撤廃の文言はインパクトがあります。
消費者がどんな価値を求めているのか、どんな味が好まれるのか、西欧の料理に合う日本酒とはどんなものなのかなどを分析し、ボトリングにも配慮する必要があります。
緻密なマーケティング手法を取り入れ、海外で日本酒の魅力を知ってもらう施策を早急に進める時に来ているのです。
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