今日は夏に向けて美味しい冷酒の選び方をご紹介します

冷や酒または冷酒で飲むのに適した日本酒の種類は、生酒の系統が第一にお薦めです。
一般的な日本酒では、腐敗防止の目的で「火入れ」と呼ばれる加熱処理の作業を2回行ないます。
しかし、この火入れによって、味や香りが変化します。
生酒とは、火入れを一切しないで出荷される日本酒のことで、保存性が悪いため全国流通に適さず、蔵元周辺で消費されることが多いです。火入れを1回だけにしたものもあります。
生詰め酒は、搾り工程の直後に火入れを1回だけ行ない貯蔵します。
生貯蔵酒は、生で貯蔵したあと、瓶詰め段階で火入れを一回行なうだけです。
生詰め酒や生貯蔵酒は、火入れを1回だけにしているため、保存性が比較的良く、味や香りが生酒に近いものになります。美味しい冷酒を楽しみたい場合には、この3種類の生酒の系統を選ぶと良いでしょう。
日本酒本来の味や香りを生かしているのが、加熱処理を制限した生酒系統のものです。
燗酒にすると、それは飲む直前に火入れを行っているのと同じことですから、繊細な日本酒本来の味や香りが幾らか変化してしまいます。
ただし、冷酒で楽しむ場合、冷やしすぎると味や香りが引き立たない可能性もあります。

吟醸酒は、酒米を磨いて不純物を削り落とし、フルーティーな香りが出るようにした特別な醸造法による日本酒ですから、冷や酒や冷酒で楽しむのに適しています。
大吟醸酒だと、さらに香りが鮮明になります。
純米吟醸酒や純米大吟醸酒も、冷や酒や冷酒で吟醸酒のフルーティーな香りを楽しめますが、醸造用アルコールを一切添加していないため、米の味を生かした日本酒の深い味わいをも含めて楽しむものになります。
何を美味しい日本酒とするかについては、個人の好みもありますので、一概に言えません。
香りを特に重視したい人もいるでしょうし、味と香りのバランスを重視したい人もいます。
冷やす温度も、日本酒の種類に応じたものになるでしょうし、個人の好みに応じたものになります。
結局、あれこれと自分で試してみるしかないわけですが、世間で美味しいとされる組み合わせも試してみたいものです。
吟醸酒の系統で生酒の系統でもあれば、冷やして飲むのに適しているはずです。
醪（もろみ）を荒く搾っただけの濁り酒や、アルコール濃度調整していない搾り立て原酒なども、荒々しいものの、新酒らしい香りを冷や酒や冷酒で楽しめます。