カルチャー  カルチャー 2018年4月24日 更新 お気に入り追加 2

今更聞けない!生酒と火入れ酒の話

Kosuke Takayanagi Kosuke Takayanagi

〜日本酒愛の伝道師〜 国際唎酒師&SAKE DIPLOMAの高柳宏介が提案する美味しい日本酒のある生活。Instagramでは@sake_evangelist としてオススメの個別銘柄やお店の紹介をしています。さて今回は、まさに新酒のシーズン真っ盛り、今更聞けない生酒と火入れ酒の違いについてザッと書き綴ります。

『生』ってつく日本酒色々ありますよね?

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仕事終わりや汗かいた後に、「生ビール」をグイッとやってプハーッとなるのがお好きな方も多いと思います。ええ、勿論スパークリングワインや発泡性の日本酒でグイッといくのが好きな方も大勢いるかと。

さてなんでこんな話から入ったかと言うと、日本酒の「生」も生ビールの「生」と意味が同じだからです。

つまり、『生酒=非加熱(火入れしていない)の日本酒』です。

「非加熱だから何なの?」と言いますと、こんな要素があります。
① 日本酒の中の酵母や菌が生きている
② 独特のフレッシュな香味がある

どういうことかと言いますと、生きているので日に日に変化します。それこそ1週間で別物かと思うくらい味が変わることもあります。

それを止めるためには、微生物たちの活動を抑制できる氷温で保管することが必須となりますが、個人でそこまでの設備を持っている人も少ないが故に、生酒は「早めに飲みきってください」と言われている次第です。

イメージとしては生鮮食品です。冷蔵庫の保管が最低ライン、常温で置いておこうものならどんどん変化もしくは劣化します。それだけ味のバランスが動きやす日本酒ではあるのですが、同時にそれが魅力だったりします。

ちなみに、日本酒には生と名のつくタイプが3種類「生酒」「生詰」「生貯蔵」とありますが、火入れをしていないのは「生酒」1種類だけです。それ以外の「生詰」「生貯蔵」は火入れしてます!

「何だよそれ…」と思われた方、僕と仲間です。最初意味が分かりませんでした。勉強して覚えたのですが、正直に言えばそこまで無理に覚えなくても大丈夫です!

前提として、「日本酒は基本的に2回火入れをする」とだけ頭の片隅に置いておいてください。

<生酒>
・一度も火入れをしないで出荷
・非常に変化しやすい
・華やかでフレッシュ、ガス感のあるのが多い

<生詰>
・搾ってすぐに1回火入れして貯蔵、そのまま瓶詰して出荷
・生酒よりは変化しにくいがまだ不安定
・搾りたての頃のフレッシュ感も結構残る
・秋に出る「ひやおろし」は春に搾った生詰を秋まで寝かせた日本酒

<生貯蔵>
・搾ってそのまま貯蔵して、瓶詰めの時に1回火入れをして出荷
・生詰よりも後半に火入れをするのでより安定する
・生酒で保管しているのでフレッシュさよりも落ち着いた印象になる

ところで「火入れ」って何なの?茹でるの?火にかけるの?となりますよね。

火入れって何するの?

https://www.nanbubijin.co.jp/kodawari/hiire/ (5700)

via https://www.nanbubijin.co.jp/kodawari/hiire/
日本酒は微生物の活動を止めるために「火入れ=加熱殺菌処理」をおこないます。なので基本的に「生」の記載がなければ全て火入れをしています。

さて、その火入れの大きな役割は日本酒の時間を止めることです。

まずは日本酒を美味しく醸してくれた酵母や菌たちの活動を止めてもらうために熱を加えて不活性化します。そうすることで過剰な発酵を抑え、杜氏さんが美味しいと思う状態にドンピシャで止めることができます。

そして日本酒を劣化させる火落ち菌などの悪影響を及ぼす菌たちを殺菌することで美味しい状態を長く保てるようにしています。

これら2つが火入れをする大きな意義です。

ここでふと疑問が湧きます。何で2回も火入れするんだろう?
ひとことで言うなら、"品質をしっかり安定させるため"です。

昔は今ほど環境に恵まれていなかったこともあり、しっかりと火落ち菌などを殺菌しないと劣化してしまうリスクが高かったことが理由に挙げられます。今もその流れで2回が定番となっていると言われています。

しかし、現代においては技術も発達し、1回の火入れで十分な状態に仕上げる蔵元さんも出てきています。少数派かもしれませんが、記載なしで1回火入れのところも実はあります。

大事なことは世に出る日本酒が「美味しい状態でお客様の元に届くかどうか」です。杜氏さんが「コレだ!」と思った味を消費者が「コレか!」と飲めたら素敵ですね。

それで結局味はどう違うの?

ここまで生酒や火入れ酒とを簡単に解説してきましたが、飲む側からしたら大事なのは「で、味はどう違うの?どういう良さがあるの?」ですよね。最後はそこをいくつかのポイントにまとめたいと思います。

<生酒>
・基本的にはフレッシュさや華やかさが売り
・氷温下で適切に熟成された生酒の芳醇な味わいは絶品
・生のフルーツのようなみずみずしい甘みがある
☆お店で購入時は温度管理を必ずチェック!

<火入れ酒>
・生っぽい甘さが控えられる
・瓶燗火入れの場合、生酒のようなガス感やフレッシュさが残りやすい
・バランスの良い完成した日本酒の印象になりやすい
☆味の幅が広いので、選びきれない場合はお店の方の力を存分に借りてください!

※「生詰」「生貯蔵」は生酒と火入れ酒の中間をイメージしてもらえれば大体大丈夫です。

おまけ
生酒の火入れ酒も、どちらのお燗も美味しいです。生酒をつけるなんて勿体無いと言う方もいますが、火入れ酒とは違った美味しさが楽しめるのでぜひお試しを。

〜日本酒に愛を、酒飲みに幸せを〜
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